ゲートウェイの倒産の原因の一つに、
集客した「留学生」「ワーホリ」からの授業料やホームステイ費を「事業拡大」のために使っていた
という内容の報道が先日の「報道ステーション」で「元社員」の証言から明らかになりました。
「事業拡大」とは日本の主要都市に設置されたオフィスや、世界の各都市に置かれた「現地オフィス」をどんどんオープンさせて行くことをさしています。
こうした費用やそれを維持するために必要な経費は「巨額」になることが考えられます。
バンクーバーでオフィスを構えている身ですので、そうしたことは容易にわかります。
家賃、スタッフの給料、雑費等々の経費、私のところでも月に100万は何だかんだで出て行きます。
ましてや、家賃や給料の高い日本のオフィス。一体いくらかかるのでしょうか?
またあれだけの規模になると、バックオフィスで働くスタッフも膨大な人数になります。そうした人件費も用意しなければなりません。
毎月の経費を考えると、「ゾッ」とします。
私は日本にいた時、店舗経営をしていました。
多店舗化を目指し、7店舗まで増やし、従業員も40名くらいいました。
店を増やせば売り上げが増えますが、それに連れて「経費」も増えていきます。
1店舗が2店舗になれば売り上げ2倍になる、と思うかもしれませんが、
『2倍になれば成功、でも2店舗で1.5店舗分の売り上げにしかならない』、というのが世の常。
でも経費はしっかり2店舗、いや2.5店舗分かかるようになります。
毎日、売り上げの数字とにらめっこ。人には「店をたくさん持って、儲かっているように見えます」が、内情はそんなもんです。
ゲートウェイも全国各都市や世界各都市にオフィスが必要だったので開設していったのでしょうが、それぞれのオフィスが維持するだけの損益分岐点に達していなければ、「利益の拡大」が「損失の拡大」になっていきます。 「負の連鎖」の「恐怖」の始まりです。
こうした経費は、製造業ではないので、物を作って売って利益を上げるというわけには行きません。
皆さんからいただく「サポート費用」でまかなってきた わけです。
(アブロードカナダの維持経費については こちら をご覧ください。)
授業料やホームステイ費は本来手をつけてはいけないお金ですが、それにも手をつけなければ会社が維持できなくなった、というのが実情だと思われます。
皆さんの支払った授業料やホームステイ費がゲートウエイの家賃やスタッフの給料に消えていったんです。
こうして、ゲートウエイは消えて行きました。でも他にもこうした事業展開をしているところはまだまだいくつもあります。
ある日本の大手エージェントの料金表がHPで公開されています。
カナダ 1年 ¥268,000
出発前・現地滞在中・帰国後サポート
到着後1週間の滞在費
(ホームステイ/平日2食・土日3食)
各種学校への入学手続き代行・送金手続き代行
海外旅行保険の手配 (保険費用は別途です)
空港出迎え(片道)
就職支援サービス
なんと268000円の費用です。
もし、これをアブロードカナダでほぼ同じ内容でサポートした場合の費用ですが、
アブロードカナダのサポート 1年 約45000円(438ドル)
現地滞在中サポート 無料
到着後1週間の滞在費 ステイ手配料 200ドル
(ホームステイ/3食) 196ドル
各種学校への入学手続き代行・送金手続き代行 無料
海外旅行保険の手配 無料 (保険費は実費)
空港出迎え(片道) 60ドル
差額が22万になります。ビックリするような費用になっています。
ゲートウエイはこの会社よりもさらに「高い」と言われていましたので、30万近く余分に支払わされていたことになるかと思います。
こうしたビジネスモデルは利用者が「賢くなればなるほど」崩れていきます。
ゲートウエイやL社、W社等が設立された当時は「インターネット」等で情報を得る手段がなかった時代でしたので、こうしたビジネスモデルは成功していました。
「情報が得られないからこそ成り立ったビジネス」とも言えます。
今やインターネットが誰にでもできるようになり、情報が簡単に得られるようになった現在では「通用しない」モデルです。
そのためかどうかはわかりませんが、R社は身売りをして巨大資本の傘下に入りました。「安全性」を考えるならR社はまだいいかもしれません。
ただ、だからと言って、実際にかかる費用以外に何十万も支払わさせるようなビジネスは「お客を食い物」にしていると言わざるを得ないのではないかと思います。
この倒産劇は「留学」「ワーホリ」業界にとって、大いなるマイナスです。
これから第2、第3のゲートウェイが出ないとも限りません。
先ほど例にあげた大手エージェントの決算書がネット上で公開されていますが、見て驚きの内容となっています。
2008年3月期の決算で、売り上げ高が約20億円、売り上げ原価が7億円。
差額13億円。
この意味わかりますか?少々荒っぽい言い方で簡単に言いますと、学校やホームステイ等に支払った実際の費用が7億で、残りの13億はこのエージェントのふところに入った、ということです。
さらにもっと注目すべきことは、これだけのお金がふところに入ったにもかかわらず、会社全体では4億5千万円の「赤字」になっている、と言う点です。
ちなみに2007年の赤字は2億円強。2006年は2億円弱の「黒字」でした。
ここ2年ほどで急速に業績が悪化しているのがわかります。
このエージェントは日本で最大手と言われているところです。「最大手」と言えども、こんな状態。
「最大手」聞いてあきれます。内情は「火の車」です。
まーこうして、日本のエージェントを批判してみても仕方のないことですが、少なくても、幸いにして、このブログをお読みになられた方、運よく上記のようなエージェントにひっかからなかった方、ラッキーだったと言えるのではないでしょうか。
「留学」「ワーホリ」のためにお貯めになったお金を「ドブに捨てる」ことなく有効に使って、長年の夢であった「留学」や「ワーホリ」に旅立ってください。